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【Role Model Interview】Tomomi Ozawa/小澤友美

【Role Model Interview】vol.23 TOMOMI OZAWA/小澤友美

エディター・ライター:佐藤万斐

Women in Technology Japanは、日本のテック業界におけるジェンダーギャップをなくし、ダイバーシティアンドインクルージョンを促進することをミッションに掲げています。

このRole Model Interviewを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になること、そして一人でも多くの方々にIT業界で働く可能性について知っていただきたいという思いで活動しています。

今回は、KPMGアドバイザリーライトハウスのシニアデータサイエンティスト、小澤友美さんにインタビュー。高校生時代に出会った本をきっかけに数学科に進学し、博士研究員を経て民間企業へ転身を果たしたという努力家の小澤さん。ご自身の経験からSTEM分野の啓発活動にも熱心だという彼女の想い、ライフストーリーとは?


Q1. ユニークな経歴をお持ちの小澤さん。自己紹介をお願いします。

WITJコミュニティーの皆様、初めまして。小澤友美と申します。現在、グローバルに事業を展開しているプロフェッショナルファームに設置されたデータ・アナリティクスの専門組織にて、シニアデータサイエンティストとして勤務しております。国内外の様々な分野の専門家と連携しながら、データと高度な分析の力で企業や社会の問題を解決するための分析技術を開発しています。それ以前は、大学で数学を専攻し、フランスで博士研究員として勤務した後、東京にあるベンチャー企業でデータサイエンティストおよびリード機械学習エンジニアとして勤務していました。

データサイエンスや人工知能の分野にまだまだ女性が少ないため、私のストーリーを共有し、IT業界を少しでも身近に感じてもらい、この業界で働く可能性をより多くの女性に知ってもらいたいと思い、Role Model Interviewに応募させていただきました。

Q2. ありがとうございます!大学で数学を専攻していたそうですが、きっかけを教えてください!

中学校で図形を証明する授業を受けて、数学に対するイメージがガラリと変わったことがきっかけです。正しい答えは一つですが、その答えに至る過程は一つではない。計算することだけが数学ではないことを知って、徐々に興味を持ち始めました。

高校生になった時、図書館でサイモン・シン氏の『フェルマーの最終定理』という本に出会いました。350年以上多くの人が証明しようとしてできなかった、フェルマーの最終定理に挑んだ数学者たちのストーリーを描いたノンフィクションです。少し難しい内容でしたが、その本を読んで、数学の奥深さや神秘的な部分に魅せられ、大学でもっと学んでみたいという想いが強くなり、大学の数学科を目指すことに決めました。当初は親に反対されましたが、最終的には理解を得て無事進学できました。

Q3. 親の反対!差し支えなければ反対された理由と理解を得た方法を教えてください!

数学を勉強しても将来の仕事があるかわからないから、という理由で母が難色を示していました(苦笑) それよりも、薬剤師など国家資格の取得を目指して勉強をした方がいいんじゃないかということを言われました。それでもどうしても諦めたくなかったので、応援してくれていた高校の先生に相談し、先生から親に、数学科を学んだ後の仕事について具体的にイメージを持てるようお話してもらったりしました。

Q4. 高校の先生が応援してくれていたのは素敵ですね!具体的にはどんなお仕事がありますか?

高校の数学教師はもちろんですが、数字を日常的に扱う金融企業や保険企業での仕事など幅広い選択肢があります。それを先生が親に伝えてくれたおかげで理解が得られて無事に大学の数学科に進学することができました。一方でここだけの話、親には、大学在学中に数学教師の資格を取るという約束を条件に進学しましたが、勉強するうちにあまり教えることに興味が持てなくなり、結局教師としての資格は取りませんでした(笑)

Q5. 晴れて大学の数学科に進学。授業はいかがでしたか?

ひと口に「数学」と言っても、高校と大学では数学を勉強するスタイルが全く違うので正直戸惑いました。高校では、計算問題をひたすら解くことが数学でしたが、大学ではコンセプトを定義して、それに対して証明するといったスタイルでした。最初は苦戦しましたが、ゼミなどで研究を続けるうちに楽しくなって、そのまま大学院の修士課程と博士課程へと進学しました。

Q6. その後フランスで博士研究員として働いていますが、どんな経緯で渡仏しましたか?

博士課程の学位論文を提出して、卒業直近の時期。まだ研究を続けたかったので研究員の公募をしていたのですが、倍率が高くなかなか採用されず、どうしようかなと思っていました。そんなとき、タイミング良く、海外と日本間の交流派遣プログラムに空きが出て、「行きたい!」と手を挙げて渡仏が決まりました。自分が研究をしたいと思っていた分野のパイオニアが在籍しているのが、パリ第13大学だったのでフランスに決めました。

Q7. フランスの大学での研究環境はいかがでしたか?

研究の環境がとても良かった印象です。日本は大学にもよると思いますが、文化的な背景もあって上下関係などヒエラルキーを重んじる環境でしたが、フランスでは教授も同僚もフラットに、フランクに議論し合うスタイルでした。また、若手の研究者を助け合う文化があり、研究の題材選びなど困ったことがあったときに、すぐ意見や助けを求められる環境で研究に没頭できました。

Q8. いきなり海外で生活するとなると大変だと思いますが、すぐ馴染めましたか?

フランス語はゼロの状態で行ったので、電車に乗る、買い物をするなど、日常生活に慣れるまでは大変でした(笑) パリ市が働いている人向けに夕方〜夜に開催している語学講座を活用したり、日常生活が送れるレベルのフランス語の習得を目指しました。

実は、大学ではフランス語がなくても問題ありませんでしたが、フランス語が分かると、その言語で発信されている情報もキャッチできて行動範囲が広がるので、やって良かったと思いました。

Q9. 常に学ぶ姿勢、素晴らしいです!その後、日本に帰国してベンチャー企業に就職されましたが、研究職から民間職への変化の心境は?

研究を続けようとヨーロッパでポストを探していたんですが、日本以上に競争率が高いのが現状でした。一方で、私自身の心境にも変化がありました。真理を追求する研究も好きでしたが、同時に社会とのつながりを持ちたい、社会への貢献やインパクトをよりダイレクトに実感できる研究をしたいという思いも生まれてきました。

そこで一度帰国し、民間企業で数学の知識を活かせる職を探して就職しました。ちょうどその頃、データサイエンスやビッグデータという言葉が出てきた時期で、人間の経験や勘だけでは分からないことを、データを分析して明らかにするところに惹かれました。そのベンチャー企業はユーザー体験を向上したり、デザインしたりするサービスを提供している企業で、初のデータサイエンティストとして入社しました。

Q10. 研究職から民間企業へのシフトチェンジ!やりがいや、大変だったことなどはありますか?

新しい挑戦をするという意味ではワクワクしていましたが、今までやっていたことと大きく違ったので、不安とワクワクが入り混じった心境でした。

データサイエンスやエンジニアリング業界は、スピードが速いので、どんどん新しい技術が出てきます。日々の業務をこなしつつ、最新のテクノロジーに追いつけるよう学び続けることは、楽しいですがとてもチャレンジングでしたね。

Q11. STEM業界で活躍する女性が増えてほしい、知ってほしいとの思い、どういう取り組みをしていくべきだと思いますか?

大学院生の時に、有志の女性大学院生が大学から任命を受けて、次世代の研究者を目指す小中高校生に科学の魅力や研究の面白さを伝える活動に参加していました。そこで見た生徒の反応から、理系分野での関心が高まったり、感化されたり、生徒に影響を与えるのは難しくないのかもしれないと感じました。

その一方で、周りの大人の認識を変える方が難しい。私自身が最初は数学科への進学を反対されたように、学んだ先のことを具体的にイメージできないあまり、不安に思ってしまう方もいる。そこにアプローチして、一人一人が自分の興味があることを自由に選択できるようになるといいのかなと思います。

WITJが発信しているロールモデルストーリーも解決につながる一つの手段ではないかと思います。

Q12. 目標やキャリアゴールを教えてください。

一人のデータサイエンティストとして技術を磨き、今後、社会がより良くなるためにどうやってデータサイエンスや人工知能の技術を使っていけばいいのか、など社会の課題を解決することに携わりたいです。AIなど、最新の技術には、アドバンテージもある一方リスクもあります。どう責任ある使い方をしていくのか。自分の技術や知識を高めて貢献していきたいと思っています。


WITJは、このRole Model Storyを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になることを望んでいます。

WITJとのコラボレーションやイベントのスポンサーにご興味のある方は、お問い合わせフォームにご記入いただくか、info@womenintech.jp まで直接ご連絡ください。

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