Yuka Kaneko

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Women in Technology Japan | 【Role Model Interview】Yuka Kaneko

Role Model Interview vol.47 Yuka Kaneko

Women in Technology Japan(WITJ)は、テクノロジー分野におけるジェンダーギャップの解消と、日本社会におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進をミッションとする団体です。私たちは、あらゆる業界で活躍する女性たちにインスピレーションを与え、つながる場を提供し、エンパワーすることを目指しています。

このRole Model Interviewでは、業界を越えて周囲に影響を与える様々なリーダーたちにを毎月ピックアップしています。本インタビューを通して皆さまがインスパイアされ、勇気を持って挑戦し続けられることを願っています。

今回登場するのは、アカマイ・テクノロジーズ合同会社のマーケティング本部責任者を務める金子裕加氏。「チームが本来の力以上の成果を出せる状態を作る。それこそが、ピープルマネージャーとしての存在意義だと思っています。」そう語る金子氏が大切にするキャリア観、リーダーシップの哲学とは?


初めまして。アカマイ・テクノロジーズ合同会社でマーケティング本部責任者を務めております、金子裕加と申します。

デマンドジェネレーション(新規案件の創出)をミッションとするマーケティング本部に所属し、フィールドマーケターおよびセールスディベロップメントを含む13名のチームを統括しています。マーケティングと営業の橋渡し役として、組織全体の成果最大化に取り組んでいます。

これまでのキャリアでは、サービスオフィスの法人営業からスタートし、モバイルゲーム企業でのマーケティング、外資系通信キャリアでインサイドセールスの立ち上げ事業など、さまざまな業界で経験を積んできました。

プライベートでは、小学2年生の娘と年長の息子の母でもあります。今年、下の子が小学校に入学予定で、やっと子育てにも余裕が出てきました(笑)。

アカマイから声をかけてもらったのは、3社目で、産休から復職してしばらく経った頃でした。まだオムツの取れていない子どもが2人いる中で、新しいチャレンジをするのは正直大変かもしれない、と迷いもありました。

ただ、ちょうどコロナ禍だったことが、ある意味背中を押してくれました。フルリモートという働き方が広がり、時間のコントロールがしやすい環境かつ、興味があったピープルマネージャー職だったことも大きかったです。

エンジニアではない自分が、テック企業で何を強みにできるのかを考えたとき、やはり人とコミュニケーションを取りながら価値を生み出すことが、自分の核なんだと気づいたんです。

「つなぐ役割」です。

私自身一人の会社員として、トップの立場にいるわけではなく、中間管理職として組織の中にいます。だからこそ、同じチームのメンバーや部下など、現場に近い人たちの声をしっかりと上層部へ届けること。そして同時に、経営方針の意図を正しく理解し、現場にわかりやすく伝えることを意識しています。

上の意図と現場の感覚には、どうしてもギャップが生まれることもあります。だからこそ、言葉をそのまま伝えるのではなく、自分の中で一度咀嚼し、目的や背景など、メンバーが「自分ごと」として捉えられる形にして伝えることが大切だと思っています。

極端に言えば、中間管理職がいなくても場は回っちゃうと思うんです。しかし、マネージャーがいることで、一人ひとりの力を最大化できると考えています。

13人のチームが、15人分の成果を出せる状態をつくる。
それこそが、ピープルマネージャーとしての存在意義だと思っています。

ありがたいことに、社会人になる前から、家族や学生時代のアルバイトの先輩達を通して、さまざまな生き方や働き方を身近に見て育ちました。その一つひとつが、今の自分の価値観の土台になっていると感じます。

求める働き方は、人生のフェーズによって変化していくものだと思います。独身の頃は思い切り仕事に打ち込みたい、結婚後は少しペースを調整したい、子供を考えはじめたタイミングは、まず自分の体調や生活を整えることを優先したいなど。

私自身もその時々で自分の少し先を歩いている人や、異なる選択をしている人たちの姿に学び、参考にしてきたように思います。

一人の理想像を追いかけるというよりも、さまざまなロールモデルからエッセンスを受け取りながら、自分なりのリーダー像をつくってきた感覚に近いですね。

最近、「リーダーになりたくない」という声を耳にすることもあって、とても考えさせられます。もちろん背景にはさまざまな理由があると思いますが、実体験を通じて感じるのは、一人ひとりが求める働き方や人生のフェーズが本当に多様になっているということです。

キャリアに集中してバリバリ働きたい時期もあれば、プライベートを優先したいモードに入ることもある。これは誰にでも起こり得る自然な変化だと思います。

だからこそ、単一の制度や「こうあるべき」という一つのモデルでリーダーを目指すのではなく、“自分のキャリアを自由に設計できること”が大前提なのではないかと感じています。変化やフェーズに合わせてサポートが用意されていることが、とても重要だと思います。

私自身、幸いなことに前職も現職も、フレックスタイムやリモートワークなど、時間や場所に柔軟性のある制度が整っていました。そのおかげで、子どもの行事や体調不良などにも対応しながら仕事を続けることができ、とても助けられました。

ただ、それ以上にありがたかったのは、そうした働き方を「特別なこと」として扱われなかったことです。周囲が当たり前のように受け入れてくれ、「お互いさま」という空気の中で働けたことが、心理的な安心感につながっていました。

制度そのものも大切ですが、それを自然に活用できる文化やチームの理解があってこそ、本当の意味で“キャリアを自由に設計できる”のだと感じています。そうすることで、「今すぐではないけれど、いずれリーダーという選択肢もあるかもしれない」と感じられ、結果的にリーダーになることへの心理的ハードルも下がるのではないでしょうか。

もう一つ大切だと思うのは、さまざまな生き方や働き方に触れる機会です。「こういうキャリアもあるんだ」「こんな働き方もできるんだ」と知ることが、自分のインスピレーションにつながります。

その意味でも、WITJのようなコミュニティやプラットフォームの存在はとても価値があると感じています。多様な声やリアルな経験が共有されることで、次の一歩を考えるきっかけになるからです。

結婚がきっかけで、仕事に対する視点がガラリと変わりました。

一人の頃は、ライフもワークもすべて自分次第。仕事も遊びも、自分のやりたいように計画し、決断し、どこまででも挑戦できる感覚がありました。当時の私にとって仕事は、「自分がどう評価されるか」という場所。達成率や成果がそのままコミッションに反映される環境の中で、自分の価値を証明することが大きなモチベーションでした。

しかし、結婚して家族ができたことで、自分の選択や判断が、誰にどのような影響を与えるのかを意識するようになりました。それは家庭に対してだけでなく、チームメンバーや周囲の人たちに対しても同じでした。

「自分がどのように評価されるか」ではなく、「自分の決断が周囲にどんな意味を持つか」。
その視点の変化が、働き方だけでなく、リーダーとしての在り方にも影響を与えたと感じています。

正直いうと、家族に聞いたら「両立できていない」と言われてしまうかもしれません(笑)。家のことを十分にできていないと感じて後ろめたさを覚えることもありますし、思い通りにいかないことも多くて、今も日々試行錯誤しています。

仕事と育児の「両立」や、「バランス」というよりも、私にとっては“チームワーク”という感覚の方が近いですね。

私が仕事モードのときは夫に子どもを見てもらい、夫が出張のときは私がカバーする。お互いに支え合いながら、その時々で役割を調整しています。

あとは、仕事に向き合うときは「200%の気持ちで取り組む」という意識を持つこと。子どもの予定で早く抜けることはあっても、仕事の期日や約束を守らないことは絶対にしない——そこは自分の中で徹底しています。

もう一つ大きく変わったのは、優先順位の付け方です。以前は、10の仕事があれば10すべてを自分でやろうとしていました。でも今は、瞬時に「全部はできない」と判断したら、信頼して5は任せる。そうやって仕事も育児も周囲と協力し、感謝しながら進めることが、長く働き続けるうえでとても大切だと感じています。

— とても大切な視点ですね

はい。こう考えるようになったのも、数年前に、東京大学の入学式の祝辞として紹介されていた、認定NPO法人 ウィメンズ アクション ネットワーク理事長の上野 千鶴子さんの言葉をオンラインの記事で読み、ハッとさせられたことがありまして。

「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。」

それまで、自分で努力して獲得したと思っていたことも、努力が報われているのは家族や友達、周りの人たちから支えられていたんだって、どこかで気づけてなかった自分がいました。

今ある環境や周りのサポートに感謝することの大切さを実感しました。

キャリアゴールと呼べるかは分かりませんが、いつか、「この人と働いたから人生が変わった」「あのとき良い意思決定ができた」と思ってもらえる存在になれたら、と考えるようになりました。

そう思ったきっかけは、アカマイのグローバルCMOである、 Kim Salem-Jacksonに初めて対面でお会いした日のことです。

社内ミーティングで彼女が話してくれた「Rocking Chair Moment」にまつわる話が、今でも心に残っていて。

「90歳になってロッキングチェアに揺られながら人生を振り返ったとき、自分は何を思い浮かべるだろうか。」

きっと仕事人生を振り返ったとき、KPIを何%達成したか、新規顧客を何社獲得したかといった数字は、もしかしたら覚えていないかもしれない。でも、「誰かのキャリアに良い影響を与えられたかどうか」は、きっと覚えているはず。

「90歳の自分」を想像したことがなく、営業やマーケティングの世界で、常に数字を追いかけてきた自分にとって衝撃を受けました。

その想いもあって、チームメンバーとの1on1はとても大切にしています。もちろん仕事の話もしますが、キャリアや将来の話もします。プロジェクトはいつか終わるかもしれないし、メンバーが転職することもある。でも、「あの人と働けて良かった」と思ってもらえる関係性は、きっとその人の中に残るはずです。

そんな視点に気づかせてくれたKimに、心から感謝、尊敬しています。

もし今、「やりたいことはあるけど一歩踏み出せない」とか、「ちょっと迷っている」という人がいたら、私自身も大切にしていることで、おすすめしたいことがあります。

勇気を出して、周りの人に「私のこと、褒めてみてください(笑)」って言ってみてください。

実は、自分では当たり前すぎて気づいていないけれど、周りから「これすごい上手だよね」とか、「それ得意だよね」など、何人かから共通して言われること、自然と無理なくできること。その中に、自分の強みが隠れていることが多い気がします。

そこから、「このスキルを活かせることって何だろう?」って自分に問いかけて、まずは挑戦してみる。最初はそこまで好きじゃなかったことでも、自然にできることって、続けていくうちに好きになっていくこともあると思うんです。

ぜひ自分の可能性を狭めずに、一歩ずつ進んでいってほしいなと思います。


WITJは、このRole Model Storyを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になることを望んでいます。

WITJとのコラボレーションやイベントのスポンサーにご興味のある方は、お問い合わせフォームにご記入いただくか、info@womenintech.jp まで直接ご連絡ください。