Women in Technology Japanは、日本のテック業界におけるジェンダーギャップを解消し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することをミッションに掲げています。
このRole Model Interviewを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になること、そして一人でも多くの方々にてテック業界で働く可能性について知っていただきたいという思いで活動しています。
今回のインタビューでは、NTTドコモに勤める増田恭子さんにインタビュー。自身がメンタルダウンになってしまった経験をきっかけに、社内のウェルビーイングコミュニティーを立ち上げたり、社外でもキャリアに悩む方の対人支援や、大学のウェルビーイング学部の講師のサポートなど精力的に活動する恭子さん。
メンタルダウンを乗り越え、自分の好きやパッションを見つけた彼女のストーリーとは?
Q1. これまでのキャリアを含めた自己紹介をお願いします。
はじめまして。NTTドコモ プロダクトマーケティング本部 サプライチェーンマネジメント部クオリティマネジメント担当で担当部長として従事しております増田恭子と申します。
新卒でNTTドコモに技術職として入社し、現在も同じ会社で働いています。当時、私は4~5年ごとに部署異動がありました。その中で、技術職だけでなく、営業、サービス企画、端末開発(スマートフォンやアプリ開発)など、さまざまな業務を経験しながら、新しい分野に挑戦してきました。
また、本業以外でも、社内で「働き方」や「ウェルビーイング」をテーマにしたオープンコミュニティを立ち上げたり、キャリアに悩む方のサポートを行う副業に携わったりしています。さらに、大学のウェルビーイング学部の授業をサポートするメンターとしても活動しています。
— キャリアの転機は、メンタルダウンを経てコミュニティを立ち上げたこと
Q2. 社内外でウェルビーイングの活動に携わっていて、素敵ですね!そういった活動に興味を持ったきっかけを教えてください。
実は、初めて課長職に昇進した際、誰にも悩みを相談できない孤独感や、多忙で複雑な業務への不安を抱えながら3年間もがき続けました。しかし、最終的にメンタルダウンしてしまい、うつ病を患い休職することになったのです。
復職後、新たなつながりや視点を求めて、本業の2割の時間を使って好きなことに挑戦できる社内制度を活用し、半年間の新規事業プログラムに参加しました。
この経験が、私のキャリアの大きな転機となりました。
当時、私が解決したかったのは、自分自身が苦しんでいた「マネージャーの孤独感や不安」の問題です。周囲にヒアリングしてみると、同じ悩みを抱えている人が想像以上に多いことに驚きました。
- 「自分のマネジメントスタイルが良いのか悪いのか分からない」
- 「うまくいかないとき、どうすればいいのか正解が分からない」
そんな悩みを持つ人同士が気軽に話せる場があれば、良い影響を生み出せるのではないか——そう考え、新規事業プログラムを修了後に、社内のマネージャーコミュニティを立ち上げました。
このとき、私は「心からやりたいことを見つけた」と実感しました。
Q3. 恭子さん自身の経験がきっかけになったんですね!コミュニティの活動内容について教えてください。
これまでに、2つのコミュニティを立ち上げました。
1つは、マネージャー向けのコミュニティで、マネージャー同士がつながり、不安や悩みを気軽に相談できる場です。こちらはマネージャーに限定したクローズドのコミュニティで、マネージャーならではの悩みや相談ができる場所として運営しています。
もう1つは、ドコモグループの社員なら誰でも参加できるオープンコミュニティです。自己理解を深め、自分にとって働きやすい環境をつくることを目的に、働くひとりひとりのウェルビーイングをテーマとした活動を行っています。具体的には、オンラインでのおしゃべりの場や、外部講師を招いた勉強会の開催、リアルイベントの企画、情報記事の発信などを実施しています。2024年1月に立ち上げたばかりですが、すでに1年で500人規模のコミュニティに成長しました。
Q4. 1年で500人規模のコミュニティに成長するなんて素晴らしいですね!休職は大変だったかと思いますが、うつ病はどのように乗り越えたのでしょうか?
休職して最初の半年間は、なんで私が…とか、早く復職しなければ…という焦りばかり感じていました。そんな私を見た心療内科の先生に、ある日こう言われたんです。
「何年も辛さを我慢し続けたのだから、治るのにも同じくらいの時間がかかると思ったほうがいいよ。」
その言葉を聞いたときはショックでしたが、先生にそう言われたからには仕方ないと気持ちを切り替え、治療に専念することを決意しました。カウンセリングと心療内科に定期的に通いながら、少しずつ回復に向けて進んでいきました。
そのプロセスの中で、これまで、誰かに自分の気持ちを話すことがあまりなかったのですが、話すことで心が軽くなるのを実感しました。そしてある日、ふと「仕事に戻れそう」と心から思える瞬間が訪れたんです。
時間をかけて少しづつ回復できたことで、2年後の心理テストでは良い結果が出て、無事に復職することができました。本当に、素晴らしい先生に恵まれたと思っています。
こういった話はあまり表に出ることがありませんが、今まさに「辛い」「しんどい」と感じている人たちに向けて、「未来を諦めなくていい」「こういう経験をした人もいるんだ」と知ってもらいたい——そんな思いで、コミュニティや講演の場で積極的に私の経験をお話しするようにしています。
この経験は、今では自分の大切な特徴の一つだと感じていますし、今の活動へのエネルギーにもつながっています。
Q4. 課長から部長へ。復職後もキャリアアップされていますが、その時に不安はありませんでしたか?
メンタルダウンを経験したことがあるので、正直、昇進に対して怖さはありました。
それでも、「もしかしたらできるかもしれない」という感覚や、「試してみたい」「自分をあきらめたくない」という気持ちがありました。また、2024年に取得したキャリアコンサルタントの勉強を通じて、環境の変化に適応するために自分がすべきことを学んだことで、その知識を実践してみたいという前向きな気持ちの変化も生まれました。
もし本当に辛くなったとしても、「休み方を知っている」し、今の自分ならきっと乗り越えられる。そう思えたことも大きかったです。
2024年7月に現在のポジションに異動したのですが、実際にこの立場で業務を実施していると、想像以上にうまくいかないことや、困難なことも多いです。それでも、以前と違い、「わからないことはわからない」と素直に言えるようになりましたし、周囲に助けを求めたり、必要なサポートを受けながら仕事を進めることができるようになりました。
7年前に課長になったばかりの頃は、何もできずに一人で悩むことが多かったですが、今はだいぶ自分自身をマネジメントできるようになったと感じています(笑)。
— 自分の好きなことで、色々な方に貢献していきたい
Q5. 経験が自信となり、恭子さんの道が開けたのが伝わってきます。社外ではメンターとしても活動されているとお聞きしましたが、具体的にはどのようなことをされていますか?
社外では、キャリアコンサルタントの資格を活かし、1on1でのキャリアサポートを提供するサービスに複数登録しています。そのサービスを通じてご縁があった方、管理職を目指す方や、キャリアに悩んでいる方のお話を聞かせていただきながら、クライアントの方が一歩を踏み出すお手伝いをしています。
また、ウェルビーイングについて社内外で活動・発信していたことがきっかけで、ある大学のウェルビーイング学部でも授業のサポートをする機会をいただきました。教授や学生の方々との交流を通して、私自身も多くの気づきをいただいていますし、学生の皆さんのより良い生き方や、キャリアについて伴走し一緒に考えるお手伝いができることに、やりがいを感じています。
さらに、自分の大好きなキャリア支援や、ウェルビーイングな職場づくりのサポートの活動を更に広げたく、この3月には個人事業主で起業もしました。自身の好きなことで、もっと色々な方に貢献していきたいと思っています。
Q6. 今後は、どのようにウェルビーイングの活動と向き合っていきたいですか?
本業、副業、そしてコミュニティの活動をうまく両立していきたいと考えています。
ただ、これがなかなか難しくて…(笑)。当然ですが、本業が忙しい時は、コミュニティの活動に十分に時間を割くことができません。
本業にコミットすることを前提として、本業に100、コミュニティ活動や副業に30。それくらいのバランスで続けていけるのが理想ですね。
Q7. 次のチャレンジや目標を教えてください!
次のチャレンジは、自分の情熱を持って取り組んでいるコミュニティや副業での活動を、どのように本業に活かしていくかを考えることです。
年齢や役職に関係なく、自分のキャリアについて考える機会や、マネージャーとしての在り方を考えるきっかけを提供したり、働きづらさを感じている人が減り、より働きやすくなるための方法——こうしたテーマに対して、一方的な研修ではなく、気楽なセミナーや個人が主催するワークショップの形で実施すれば、より前向きに捉えてもらえるのではないかと考えています。
そんな思いから、これまで社内外のコミュニティで続けてきた勉強会や情報発信を、自分の部署にも取り入れることを検討しています。 具体的な方法は、ちょうどまさに検討中ではありますが、月1回程度の機会を設けて、カジュアルなセミナーやワークショップのようなものを、実施してみようと考えております。
もしうまくいけば継続し、違うと感じたらまた別の形を考える——そうやって試行錯誤しながら進めていきたいと思っています。いまでも、新しいことを始めるには不安もありますし、やっぱりやめようかな…と怖気づく瞬間もありますが、活動を賛同してくれる同僚や上司、仲間に背中を押してもらいながら、挑戦しつづけること自体に意味があると信じています。
— キャリアは10年単位で考える。アクセルを踏める時期、ブレーキを踏む時期を見極めること
Q8. キャリアについて悩んでいる方にメッセージをお願いします。
このキャリアストーリーをスナップショットで切り取ると、とてもキラキラしてて、エネルギーにあふれていると感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私自身、本当に毎日迷ったり、立ち止まったり、不安を感じる瞬間もたくさんあります。子どもがもっと小さいときには、キャリアと育児が両立できず、苦しい思いをしたこともたくさんありました。そんな時は、キャリアを10年単位で俯瞰して考えて、アクセルを踏める時期と、ブレーキを踏まないといけない時期を見極めていました。
いま、思うようなキャリアを描けていないな…と感じる方は、ご自身のキャリアを俯瞰して、5年・10年の単位で、考えてみてください。今は、もしかしたらブレーキの期間かもしれません。もし、そうだとしたら、この先どの時期にアクセルを踏めるかな?と考えて、焦らず、その時が来るのを待つのも、アリだと思います。
また、周りの信頼できる方に、そのもやもやをお話してみると、何か気づきがあるかもしれません。上長だけでなく、キャリアコンサルタントや、社内外の尊敬する先輩や同僚、後輩など、色々な方と、対話をしてみてください。一人ではわからない気づきや勇気を得られて、何か一歩踏み出すことができるかもしれません。
自分の得意を見つけて、ご自身らしいキャリアを歩む方が一人でも多く増えることを、心から祈っております。
WITJは、このRole Model Storyを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になることを望んでいます。
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