AKKODiS 奥田幸江 Yukie Okuda

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Women in Technology Japan | 【Role Model Interview】Yukie Okuda

Role Model Interview vol.45 Yukie Okuda

Women in Technology Japan(WITJ)は、テクノロジー分野におけるジェンダーギャップの解消と、日本社会におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進をミッションとする団体です。私たちは、あらゆる業界で活躍する女性たちにインスピレーションを与え、つながる場を提供し、エンパワーすることを目指しています。

このRole Model Interviewでは、業界を越えて周囲に影響を与える様々なリーダーたちにを毎月ピックアップしています。本インタビューを通して皆さまがインスパイアされ、勇気を持って挑戦し続けられることを願っています。

今回登場するのは、AKKODiSコンサルティング株式会社の取締役 兼 People Success本部の本部長の奥田幸江氏。コンサルティングファーム出身のバックグラウンドを活かし、人事戦略と組織変革を推進し、女性初の役員として活躍する奥田氏のリーダーシップの哲学、エンパワーメントの原動力とは?


初めまして、奥田幸江と申します。AKKODiSコンサルティング株式会社で取締役 兼 People Success本部の本部長として、人事戦略と組織変革を推進しています。

新卒でコンサルティングファームにてキャリアをスタートし、約5年間にわたり、システム開発やERPパッケージ導入、業務プロセス改革、ジョイントベンチャーの立ち上げなど、幅広いプロジェクトを経験しました。

その後、外資系企業や医療機器メーカーなどで人事責任者を担当し、人材開発、組織開発、制度設計を軸に、国内外の人事戦略に携わりました。

コンサルティングファームでキャリアを歩んでいる時に、同じ規模のプロジェクトでも、誰がリードするかによって結果が大きく変わる場面を数多く見てきたことから、人・モノ・カネ・情報の経営資源の中でも、最も成果に影響を与えるのは「人」だと強く実感。リーダーシップや組織開発への関心が深まって、人事としてのキャリアを歩むことを決意しました。

さらに、コンサルティングファームでは海外を拠点に活躍する女性リーダーの姿を間近で見ることができ、ロールモデルとして大変参考になりました。シンガポールやアメリカの上司は、働きながら子育てをしており、日本に出張に来た時に、お子さんのことについて聞いてみると、ベビーシッターを活用したり実家に預けたり、旦那さんにお願いしたり。そういう風なキャリアの築き方もあるのかと、当時の私には目から鱗でした。そこからより強く、人事として制度設計やプログラム開発に関わりたいと思う原動力にもなりました。

実際に事業会社の人事として働き始めると、正直、壁にぶつかることの連続でした。M&Aを通じて成長してきた企業で、工場も持っていて、現場ではブルーカラーの方々が働き、労働組合もある。サービス業中心だったコンサルの世界とは、まったく違う景色が広がっていました。

評価制度一つ取っても、ローカルで長年運用されてきた仕組みを、グローバルの人事システムに統合していく必要がありました。試行錯誤の連続でしたが、まさにチェンジマネジメントの真っただ中でしたね。

社員の方々、組合の方々、そしてリーダー層それぞれに向けて、丁寧に説明し、ワークショップを重ねながら進めていく。そのプロセスを通じて、「人事は人と向き合う仕事なんだ」と改めて実感した経験でした。

尊敬する元上司の存在が、今の私のリーダー観を形づくっていると感じます。

彼女から学んだのは、変化を起こすときほど「なぜやるのか」を丁寧に伝えること、そして「この人が言うなら大丈夫」と周囲に安心感を与えるあり方です。主要なポジションの人たちときちんと関係性を築きながら、ローカルの社員やユニオンの声にも耳を傾け、懸念点を踏まえた上で建設的な提案をしていく。その情報の集め方や動き方、そして人としての佇まいは、今でも私のロールモデルです。

もう一つ大切にしているのは、自分の手が届く範囲から変えていくこと
文句を言うのは簡単ですが、明かりを一つずつ灯すように、良くするために手を動かし続けることが大事だと思っています。正しくありたいし、そのためにどう動くかを考える。それが、今の私のリーダーシップにつながっています。

一番感じているのは、自分自身で可能性にフタをしてしまっている人が多いということです。

特に日本では、男性・女性を問わず「自分はここまで」と無意識に線を引いてしまうケースが多いように思いますが、ワークライフバランスを強く意識する分、女性のほうがそうなりやすい場面もあるかもしれません。実は、私自身もそういう時期がありました。

でも、やりたいことがあるなら、「できない理由」を探すより、どうやったらできるかを考える。そして、優先順位を決めることが大切だと思っています。

たとえば本当に小さな話ですが、私は洗濯は週2回と決めていましたし、家事も「自分じゃなくてもできること」はどんどん手放しました。ベビーシッターなど外部の力も借りていましたし、正直なところ「子どもが元気ならOK」という基準で生活を回していました。

一言で言うと、とにかく楽しむことですね。
自分とはまったく違う生き物が家にいる、その不思議さ自体が面白い。思い通りにいかないことがあっても、「まあ、しょうがないか。付き合うしかないよね」くらいの温度感でやってきました。

頼れるところは、きちんと頼ります。
シッターさんにお願いしたり、離乳食や家事は手を抜けるところは抜く。その一方で、忙しさを理由に後回しにせず、たとえ出来合いのごはんでも、一緒に食べて、ちゃんと向き合う時間をつくる。そこは意識して切り替えましたね。

子育てに正解はないと思っています。誰かの成功例が、そのまま自分に当てはまるとは限らない。だからこそ、試行錯誤しながら、その子との関係の中で答えを見つけていくしかないんですよね。

もう一つ大切にしているのは、幸せのハードルを上げすぎないこと

毎日ちゃんとごはんを食べられたとか、お風呂に入れたとか、朝コーヒーを飲みながら鳥の声を聞いたとか。それだけで十分幸せだと思える。大きな目標は持ちつつも、日々の小さな「幸せ」を大切にしています。

会社としては、AIの進化を前提に、10年先のビジネスや働き方をどう描くかに強い関心があります。IT業界では変化のスピードが非常に速く、戦略的ワークフォースプランニングの観点で、今いる人材がどう変化し、どうトランスフォームしていくのかは、グローバルでも重要なテーマです。

AIと共に働く未来を考えることは、とてもワクワクします。一方で、「では人間は何を担うのか」という問いも、これまで以上に重要になると思っています。特に、感情を扱うこと、人と人の関係性を築くことは、AIには代替できない領域です。

20年近く人事に携わってきて感じるのは、制度や仕組みを変えること自体がゴールではないということです。評価制度や組織文化の改革も、結局は上司と部下の関係性、自身の価値観や、リーダーのあり方、メッセージの伝え方といった「人間らしさ」の部分に行き着きます。

だからこそこれからは、AIを活用しながらも、人が人らしく働ける組織文化をどう育てていくか。
人と人が向き合い、より良い関係性の中で価値を生み出していける環境づくり、次世代のリーダーの育成に、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

現状では役員クラスで女性は私一人です。
サクセッションパイプラインの取り組みは進めていますが、採用や昇格の基準自体を大きく変えているわけではありません。その中で、私は大きく2つのポイントがあると考えています。

一つ目は、登用・育成する側の視点です。
現状、登用を判断するのは多くの場合、男性の上司です。無意識のうちに「これは男性向き」「女性にはまだ早い」といった見方をしていないか。ストレッチアサインメントの与え方や評価の仕方に、性別によるバイアスが入り込んでいないか。そこを上司側にしっかり意識してもらう仕組みづくりに、今チャレンジしています。

二つ目は、本人が自分で可能性にフタをしていないかという点です。
マネージャー昇格の面談には私もすべて入っていますが、将来のキャリアを聞くと、女性の多くが「部長になるなんて考えたこともない」と答えます。ロールモデルが身近にいないことも大きいと思います。でも、「マネージャーまで来たなら、その先の景色を見てみたいと思ってもいいよね」と話すと、考え始める方も多いんです。

だからこそ、外の世界を知る機会を仕組みとしてつくりたいと思っています。他社で活躍する女性リーダーの存在を知ることは、「自分にもできるかもしれない」と思うきっかけになります。私自身も、そうした存在に何度も背中を押されてきました。

同時に、女性だけでなく、男性リーダーにも次世代を刺激する役割を担ってほしいと思っています。「こんなキャリアもある」「目指してみたら面白いよ」と声をかけるだけで、見える世界は変わります。

私自身、「やらずに後悔するより、やって後悔したい」タイプなんです。

10年後の自分に、「あのとき諦めたよね」と言い訳したくない。成功しても失敗しても、「あのとき自分で選んだ」と思える人生でいたいと思っています。

実は、大学時代に立ち上げた日本インド学生会議で、マザーテレサにお会いした経験があります。飾らない、明るいおばあちゃんのような方で、「自分にできることなら何でもやる」という姿勢そのものが力強いリーダーシップだと感じました。

「あなたが進んで明かりをつけなさい」—— 彼女にかけてもらった言葉は今でも私のライフモットーとなっているくらい大切です。私自身も明るいおばあちゃんになる日まで、一人でも多くの人の背中を押していきたいですね。