Writer: Kana Ono
2025年3月5日、グーグルクラウド・ジャパン合同会社主催のコラボイベント『Unlock Your Potential, Shine and Grow (Glow)』を、グーグルの渋谷オフィスにて開催しました。グーグルクラウドの他、日本マイクロソフト、アクセンチュア、Women in Technology Japan(以下:WITJ)も本イベントに参加し、合同でのイベントとなりました。
イベントには、WITJコミュニティのメンバーをはじめ、多様な業界からオフライン・オンライン合わせて100名以上の方が参加し、貴重な交流と学びの機会となりました。
「Unlock Your Potential」をテーマに、3社に所属する女性リーダーによるパネルディスカッション、参加者同士のワークショップ、そして軽食を交えた懇親会が行われ、キャリアや働き方について深く考える場となりました。
イベントプログラムに沿ってレポートさせていただきます。
- オープニング
- パネルディスカッション
- Q&A
- ワークショップ
- 懇親会
オープニング
本イベントは、Google Cloud JapanにてVice Presidentを務める平手智行 氏による挨拶でスタートしました。参加者の方々に対して、今回イベント開催に至った経緯や想いについて語っていただきました。
挨拶の中では、グーグルクラウドをはじめとしたテック企業で活躍する日本の女性たちに対して、自分から考えを発信し続け、仲間という財産を作り、その過程で自身の可能性を解き放てるようになって欲しいという温かいメッセージを送ってくださいました。
また、グーグルクラウドでのカルチャーに対する考え方として、カルチャーフィット(自分と似たバックグラウンドの人たちを集めること)ではなくカルチャーアッド(違う経験をしてきた人たちを集め、そこからイノベーションが生まれること)が重要だというお話が印象的でした。
次に、WITJの代表であるAnnie Changが挨拶を行いました。
2013年の創業から過去12年の活動を振り返り、WITJのミッションの紹介、そしてその想いについて語ってくれました。
WITJのミッション
- 女性のリーダーシップを推進
- テック業界のジェンダーギャップを解消
- 日本のダイバーシティ&インクルージョンを推進
さらに、現在の日本社会における女性活躍の様々なデータに関する説明がありました。特に他国(シンガポール、インド、イギリス、アメリカ)と比較した時に、STEM分野の学生やテック企業の管理職の中での女性管理職比率が最下位だという点が会場でも注目を集め、改めて日本における女性の社会進出を推進し続ける必要性が認識されました。
パネルディスカッション
続くパネルディスカッションでは、グーグルクラウドジャパン、日本マイクロソフト、アクセンチュアから1名ずつ、合計3名のパネリストが登壇しました。WITJからは、メンターである吉田 留津子氏が参加。ファシリテーターとしてディスカッションをリードしてくれました。業界を代表するリーダー達が自身の経験や考えを共有し、キャリア形成や管理職としての働き方、これまでに自身がUnlockできた瞬間の経験談など、多岐にわたるテーマを議論しました。
<パネリスト紹介>
上野 由美氏(グーグルクラウドジャパン)
パートナー事業本部 常務執行役員
シスコでのエンジニア、プロダクトマネジメント、営業、マーケティングの経験を経て、2023年にグーグルクラウドジャパンに入社。現在はパートナー事業に従事。
岡 寛美氏(日本マイクロソフト)
パートナービジネス本部 本部長
日米で電機機器メーカー勤務を経て2007年に日本マイクロソフトに入社。ライセンスや公共機関営業、Microsoft 365事業に従事し、2022年9月から現職。
堀江 章子氏(アクセンチュア)
常務執行役員 金融サービス本部 兼 インクルージョン&ダイバーシティ日本統括
大学卒業後、アクセンチュアに入社。1999年にマネジャー、2007年にマネジング・ディレクターに就任。2014年よりインクルージョン&ダイバーシティ統括を兼任。
<ファシリテーター>
吉田 留津子氏(Women in Technology Japan)
WITJ Mentor, CEO at Bright Work Hub
富士通 光伝送開発エンジニアを経て、外資IT企業2社にてSE,PM, 営業職を経験。流産やワーキングマザーとしての苦悩と、2度のキャリアブランクの経験を持つ。2023年「日本の働き方を変える!」を志しBright Work Hub株式会社を設立。企業様へシステムコーチング・ワークショプ・伴走コンサルを提供中。
Q1. これまでのキャリアの中で、Unlockできたと感じた瞬間
上野さん:アジア全体の市場を営業リーダーとして統括していた時に、初期は日本から業務を行っていた。ある日日本支社の社長から、自身のVisibilityをあげながら日本人としての新しいPathを作る為に、アジアの本社であるシンガポールからの勤務を勧められた。悩みながらもチャレンジを決心し、小学生のお子さん二人とご主人と共にシンガポールへ渡ったところ、自身や家族の視野の広さが価値観が変わり、その後同じキャリアパスを歩む日本人も増えた。
岡さん:一番のチェンジポイントは、子供が生まれて初めて職場復帰した時。仕事も家庭も中途半端になっていると感じていた中、改めて「なぜ自分が働きたいか」について考えるきっかけとなった。すると、「日本を元気にしたい、海外でも日本を輝かせたい」という想いが仕事の原動力となっていることに気づいた。それからは、常にこのNorth Starに向かって走り続けているかどうかを確認しながら働くようになった。
堀江さん:ある銀行をクライアントとして担当していた時に、海外の競業の調査を依頼された。10年後の会社を見据えた時に、どういう意図で経営が変革を推進したのかを理解したい、という依頼者の考えを知り、経営陣が持つ広い視野・高い視点に驚かされた。それからは経験を重ね、自身の視野を広げる必要性を感じるようになった。
Q2. 自分らしさを表す本や映画、ドラマ
上野さん:「The Culture Map」(Erin Meyer著)。多文化の環境で生活するうえで、お互いのカルチャーを理解し、円滑にコミュニケーションをとることが大切。そのために、何度も読み返している一冊。
岡さん:「ザ・ラストマン」(川村隆著)と「How to Win Friends and Influence People」(Dale Carnegie著)。特に後者は、チームや同僚を動かし、幸せにするための方法について学べる点が魅力。
堀江さん:映画やドラマの中に登場する料理のシーンが好きで、特にお気に入りは『The Godfather』でニョッキやトマトソースを作る場面。細部にこだわりながらコンテンツを楽しむのが醍醐味。
Q3. 専門職と管理職のうち、管理職を選んだ背景や当時の考え
堀江さん:特に意識していたわけではないが、上司から「お客様との接点が強い仕事が向いているのでは」と助言を受け、その結果、管理職のロールからマネジング・ディレクターへの昇進に繋がった。どちらの道を選んでも楽しい仕事はあると思うが、第三者から指摘された自分の得意分野には耳を傾け、納得できたら挑戦してみるのも良い。自分では気づかない視点で評価されることもあるため、抵抗がなければチャレンジすべき。
岡さん:マネージャーの仕事は、自分の能力をチームのために活かし、メンバーの成長を親のように見守ること。最初から意識的にこの立場を目指していたわけではないが、この過程を繰り返しているうちに、自然と管理職になっていた。
上野さん:もともとエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後、営業職へとロールを変更。そのタイミングで「人とどう仕事をするか」「どうインパクトを出すか」を考えながら営業チームを拡大していく中で、管理職の役割を担うようになった。
Q4. ワークライフバランスで苦戦している方へのメッセージ
上野さん:自分がどうしたいのか、軸を明確に持つことが大切。20代後半から30代にかけては、キャリアへのモチベーションとパーソナルライフの目標の両方が存在する。自分の価値観を信じ、たとえ他人の助言とギャップを感じても、自分の軸を貫くことが大事。また、積極的に他人の力を借りることも重要。ベビーシッターや家事代行などを活用し、割り切る姿勢を持つ。パートナーとはしっかり対話し、お互い納得した上で動く。
堀江さん:他人からの意見に関して、同意できないことに無理に合わせて苦しむ必要はない。受け流すことも選択肢の一つ。職場では積極的に周りのメンバーに助けを求めることで、全体の効率も向上する。意外と多くの人がサポートしてくれるものなので、気軽に頼ることがビジネスの成功にも繋がる。
Q5. リーダーとして見える景色は以前とどう違うのか、今後Unlockしたい機会
堀江さん:マネジング・ディレクターになった当初は、クライアント企業の個別業績にフォーカスしていた。しかし、今は社会全体へポジティブなインパクトを与える重要性をより意識するようになった。今後は日系企業の海外成長を支援するためにアクセンチュアのポテンシャルを生かし、グローバルプロジェクトを工夫しながら推進していきたい。
岡さん:役職が変わっても、人事情報以外で見える世界は大きく変わらない。ただ、積極的に情報を探し出し、ビジネス全体の状況を毎月チームと共有するようになった。得られる情報自体は同じでも、それをどう捉えるか・どうチームに発信していくかという視座が変わった。
上野さん:情報量は変わらなくても、視野は確実に広がる。仕事をする上では、「Two Level Up」を意識し、上司の上司ならどう考えるかを常に念頭に置いて行動している。一人でできることには限界があるからこそ、視野を広げることが重要。今後はチームメンバーの得意分野を見極め、それをどう生かせるかを考えながら、一緒にプロジェクトを進めていきたい。
会場の皆さんへのエール
最後は、会場に来ていたゲストの方々に対してそれぞれ力強いエールを送ってくださいました。
堀江さん:「もし制約がなかったら、本当にやりたいことは何か?という問いかけを自分にしてみましょう。自分のやりたいことに向き合うことで、これまで見えていなかった道が開けるかもしれません。」
岡さん:「Don’t resist the change, be a part of change。変化は大変ですし疲れることもありますが、自分から積極的に関わっていくことによって、仕事や私生活で作り出せるインパクトも広まります。」
上野さん:「キャリアやプライベートにおいて、何にワクワクできるかを忘れずに考えることが大事です。日々の忙しさの中で、自分が本当に情熱を感じることを見失いがちですが、それを意識し続けることで、新たなチャンスにつながります。」
ワークショップ
パネルディスカッションの後は、参加者が複数のグループに分かれて、①自身のキャリアをLockしているもの、②過去に何かをUnlockできた経験、③これからUnlockしたいことについてそれぞれ議論するセッションを行いました。
参加者の方々には、今後10年のキャリアへの解像度や家庭と職場の両立等、それぞれのライフステージごとに異なる悩みがあり、お互い率直に共有・共感し合う場面が多々見られました。また、IT業界という特にペースが早い環境にいるからこそ生まれるユニークな体験や仕事への向き合い方についての話題で盛り上がりました。
グループディスカッションの後には、それぞれのグループ内での議論の内容を発表する場面がありました。中でも印象に残ったのは、複数名から挙がった「時間をとって、自分のこれまでのUnlockした経験が今後やりたいことをじっくり考えて言語化する」というアクションプラン。今後のキャリア形成に向けての参加者の方々の前向きな姿勢が伺えました。
懇親会
最後に行われたのが、参加者同士での懇親会。なかなか対面で会うことが少ないWITJコミュニティーや3社に所属する社員の方々が直接交流する機会となり、企業ロゴ入りのマカロンをはじめとした豪華なケータリングでとても盛り上がりました。
たくさんのUnlock Pointやキャリア形成の多様性に富む経験談が共有された本イベント。
それぞれが異なる価値観や背景を持ちながらも、「変化を恐れずに挑戦」を共通テーマに語られた内容は、多くの参加者にとって新たな着眼点やインスピレーションをもらうきっかけになったのではないでしょうか。
グーグルクラウドジャパン、日本マイクロソフト、アクセンチュア、Women in Technology Japanは、今後もIT業界において、女性がキャリアをUnlockできるワークプレイスを推進し、社会に貢献できる存在を目指します。
改めまして、この度のご参加に感謝申し上げるとともに、またお目にかかれる日を楽しみにしております。
🌟Women in Technology Japanについて
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