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Women in Technology Japan |【Role Model Interview】榎本直子

Women in Technology Japanは、日本のテック業界におけるジェンダーギャップを解消し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することをミッションに掲げています。

このRole Model Interviewを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になること、そして一人でも多くの方々にてテック業界で働く可能性について知っていただきたいという思いで活動しています。

今回のインタビューでは、国内外で金融のスペシャリストとしてキャリアを積んだ後、業界未経験でマイクロソフトに入社した榎本直子さんにインタビュー。入社半年にして管理職に就き、現在はAsia Regional Modern Work GTM Leaderとして、チームをまとめる直子さん。1児の母でもある彼女が語る、管理職としての働きがい、リーダーシップの極意とは?


Q1. 多彩な経歴をお持ちですが、ファーストキャリアで金融を選んだ理由、そのやりがいを教えてください。

大学卒業後、国際的な舞台で活躍したいという漠然とした思いからHSBC Groupに入社し、銀行業務や債券のセールス・マーケティングに従事しました。

しかし、在籍中にリーマンショックを経験したことが、自分のキャリアや本当にやりたいことを見つめ直すきっかけとなり、さらなる知識とスキルを磨くために北米のビジネススクールへ進学しました。

ビジネススクールでの就職活動では、「ロール」「勤務地」「業界」の3つのうち最大2つまでを変えることが可能だと認識し、そのアドバイスを踏まえ、ファイナンスエリアという業務は変えずに勤務地と業界を大きく転換する道を選びました。その結果、ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品会社であるヤンセンファーマに転職し、シンガポールオフィスにて2年間、アジア地域のファイナンスコントローラーとして勤務しました。

アジア全域を担当する業務でしたので、広い視野を持ち全体像を把握しながら、それを具体的な戦略へと落とし込むことが求められました。この広範な視点で業務に取り組むことには非常にやりがいを感じていましたが、一方で各地域のビジネス戦略や製品の強み・弱みといった、本質的かつ詳細な部分への理解を深めたいという思いが強まりました。そこで帰国を決意し、日本市場を担当するポジションに就きました。

Q2. ファイナンスの仕事から、テック業界のマーケティングの仕事へ異業種転職した理由は?

ファイナンスの仕事は、基本的にサイクルに沿って進行します。そのため、何度かそのサイクルを経験するとそのサイクルに慣れ、自身のキャリアについて迷いを感じるようになりました。アカウンティングや会計などの資格を取得してファイナンスの世界で専門性を高めるという選択肢もありましたが、その道で活躍する自分を明確にイメージすることができませんでした。

そこで自己分析を重ねた結果、データに基づいてビジネス戦略を考え、チームでその実行をドライブするプロセスに強い興味を持っていることに気づきました。

製薬業界では、製品開発が事業の成否を大きく左右する重要な要素で中長期のビジネス戦略が求められます。どちらかというとそれに比較して短期での戦略や実行が求められ、製品の変遷が激しく変化も速いテック業界で働くことは好奇心が強い自分に合っているかもしれないと考え、複数の企業を検討する中で、ご縁があってマイクロソフトへ転職を決意しました。

Q3. テック業界もマーケティングも未経験だったそうですが、挑戦してみていかがですか?

未経験にも関わらず、恐らく私の経歴や考え方、伸びしろを考えて人材として面白いと思ってくださり採用に至ったのかと思います。過去の同様の経験の有無に捉われずに、強みやポテンシャルを見出して採用をしてくれたのだと思い、そのような期待に応えてみたい、挑戦してみたいと強く思い入社しました。

当時、会社としてデベロッパー向けマーケティングの強化が重要視されていたため、私はDeveloper Audience Marketingを担当するポジションに就きました。テック業界はスピードが速く、常に変化が求められる環境で、試行錯誤を繰り返す日々でしたが、明るく前向きな上司のサポートを受けながら、この分野で成果を上げることができました。

その後、カスタマーサクセス部門への異動を経て、現在は「モダンワーク」と呼ばれるプロダクト群(Microsoft 365やCopilotなど)のGo-To-Market戦略を担うマーケティングチームをリードしています。日本市場にとどまらず、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランド、インドなどアジア全域のディレクションも担当するので日々学びがある環境です。

Q4. キャリア形成で大切にしていることはありますか?

キャリア形成において、私は常に「3年を目安に新しいチャレンジを見つける」ことを心がけています。

どの仕事でも、3年ほど経つと、自分なりのやり方が固まってしまい、試行錯誤する余地が少なくなったり、新しいことに挑戦する感覚が薄れてきます。そのため、「慣れた」と感じたタイミングで新たなチャレンジを探し、自分の成長機会を積極的に見出すようにしています。

Q5. マイクロソフトで初めて管理職を経験されたそうですが、管理職としての働きがいはいかがでしょうか?

入社から半年が経った頃、上司の異動に伴い管理職のポストが空き、声をかけられました。入社して間もないこともあり不安もありましたが、上司のサポートもあって、挑戦することに決めました。

管理職を経験して率直に感じたのは、プレイヤーとしての役割とは全く異なる仕事であるということです。

当初は、それぞれのチームメンバーの業務やプロダクトについて最も深く理解することが管理職に求められることだと思っていました。しかし実際には、個々のメンバーやチーム全体の強みを引き出し、時にはメンターとしてメンバーの成長に必要なものを共に考えたり、積極的に関係性を築きながらメンバー間、他組織とのアラインメントを取り、チームをまとめることが求められていると気づきました。

その気づき以来、チームを成長させるために自分ができることを模索し、工夫を重ねる日々です。メンバーやチーム全体の成長を支えられることに大きなやりがいを感じています。

Q6. 子育てをしながら管理職を担うことにハードルを感じる方もいますが、お子さんがいらっしゃるNaokoさんのご経験はいかがでしょうか?

4歳の子供が1人います。プレイヤーとして働いていた頃は、納期に追われたり、お客様や取引先との対応など、自分ではコントロールしにくい部分が多々ありました。しかし、管理職になると、ある程度裁量権を持って業務をリードできるため、自分のペースで仕事を進めやすくなり、むしろ助かっています。

個人的には、子育てをしている方にとって管理職の方が働きやすいというケースもあるのではないかと思っています(笑)。

Q7. 2030年までに日本政府は企業の女性管理職の割合を30%にする目標を掲げています。女性リーダーを増やすために、私たちにできることは何だと思いますか?

女性管理職を増やすためには、ロールモデルとなる女性リーダーを増やすことが大切だと思います。新しいことにチャレンジする時、その人のストーリーや経験が後押しになるからです。

特に、女性リーダーの「最初の1人目」になることには大きな勇気が必要ですが、その存在が他の人にとって強いモチベーションになります。私自身も過去のその時々に応じて自分と似た境遇にある人や、こんな風になりたいなという人を見つけ、そのような女性が活躍している姿を見ると、勇気づけられます。

Q8. 目標やキャリアゴールを教えてください。

専門職に特化するというよりも、ジェネラリストとして幅広い経験を積みながらキャリアを構築していきたいと考えています。また、好奇心を満たしながら働ける環境で、自分が必要とされる存在であり続けたいと思っています。


WITJは、このRole Model Storyを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になることを望んでいます。

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