株式会社MAIA代表 月田有香

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Women in Technology Japan |【Role Model Interview】月田有香

【Role Model Interview】vol.28 月田有香

Women in Technology Japanは、日本のテック業界におけるジェンダーギャップをなくし、ダイバーシティアンドインクルージョンを促進することをミッションに掲げています。

このRole Model Interviewを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になること、そして一人でも多くの方々にIT業界で働く可能性について知っていただきたいという思いで活動しています。

今回は、女性デジタル人材育成を支援する、株式会社MAIA代表の月田有香さんインタビュー。新卒でコンサルティングファームに入社後、夢だったミュージカル女優に転身。その後、社会課題を解決するためにMAIAを立ち上げた月田さん。次々に挑戦し、あらゆる分野での課題解決に力を注ぐ彼女のストーリーとは?


Q1. 自己紹介をお願いします。

女性デジタル人材育成を支援する、株式会社MAIA代表の月田有香です。兵庫県出身で、関西学院大学の文学部哲学科を卒業しました。大学卒業後は、コンサルティング会社に入社しました。そこから2年後に退職し、昔からの夢だったミュージカル女優を目指して劇団等で活動。日本全国を周りましたが、役者に対する待遇やライフスタイルに課題を感じて、役者を講師に迎えた企業研修サービスを提供する会社を立ち上げました。この起業からヒントを得て2017年、新たに女性のデジタル人材育成を構築する株式会社MAIAを立ち上げました。

Q2. 興味深い経歴ですね!大学卒業後にコンサルティング会社に就職した理由を教えてください。

大学在学時に臨床心理士に興味があったので、一度大学院に行く道も考えました。ただ、カウンセリングをするにあたって、まず社会人の気持ちを理解したいという思いから就職を選びました。企業の課題解決に貢献できる職種が良かったので、アビームコンサルティングに入社しました。

入社したての私はITスキルがほとんどなく、タイピングがやっとできるレベルでした。3ヶ月の研修期間を経て、ロジカルシンキングや簡単なプログラミング、SAPを学び、最終的にSAPの担当にアサインされ、財務会計関連の業務に携わりました。IT初心者でも学ぶとできる、この実体験は、後ほどMAIAを立ち上げるきっかけにもなりました。

Q3. その後コンサルティング企業を退職して、ミュージカル女優を目指したそうですが、そのきっかけは?

アビームコンサルティングに在籍中、土日で社会人ミュージカルに出演する機会があり、そこでたくさんの人に感動を与えられるお芝居の魅力に惹きつけられました。

小さい頃に歌とピアノを少し習ったくらいでしたので、芝居やダンスは20代になってからの挑戦。小さい頃からやられている周りの方々と比べて苦労はしましたが、続けるうちにプロフェッショナルとして挑戦したいという思いが強くなり、思い切って退職を決意しました。

退職してすぐオーディションに通り、今はもう無いのですが「ふるさとキャラバン」という社会課題、地域の課題を扱っているミュージカル劇団等に出演し、日本全国を周りながらお芝居をしました。

Q4. 夢に挑戦する姿素敵です!ミュージカル女優の経験が仕事にもつながったそうですが、どんなところが気づきになりましたか?

1000人が入る舞台会場で公演をすることもあったので、自分を表現するときに役の気持ちをみんなの心に届けられるように役を生きることを心がけていました。

この経験は、今も講演や研修に役立っていて、人前で恥ずかしがらずに表現することができるようになったと思います。

また、チームワークの素晴らしさを改めて体感できたのもこの仕事でした。

舞台は総合芸術で、演出家、照明、大道具、小道具、舞台監督… 様々な人が協力して、作り上げる作品で、表現者(役者)は舞台のほんの一部。


「お客様の心に元気を提供する」とてもやりがいのある楽しい仕事でした。

その一方で、課題にも直面しました。よほど大きい舞台でない限りギャラがほとんどもらえないケースがあったり、役者あるあるなんですが、特に舞台は人気商売なのでいくらお客さんが呼べるかノルマがあって、呼べなかった分は自腹になることも。

メインの役でギャラをたくさんもらえることは奇跡的なことだと痛感しましたね。

役者は歌に、ダンスに稽古に、時間もお金も自己投資しながら勉強していますが、日本には役者に対しての保証制度がなく、待遇も厳しい。

その状況に課題意識を持ち、ビジネスの世界にいた人間として何かできるんじゃないかと思い、役者が自分の経験を生かした仕事ができるように、2010年にチアーズという会社を立ち上げました。

Q5. 役者の世界での課題を見つけられたんですね。チアーズでは、どのようなサービスを提供していましたか?

演劇者を講師として採用し、主にimprovisation(即興劇)を軸に企業の人材に研修をするサービスです。

Improvisationでは「Yes and」が哲学で、相手のアイディアをYesで受け入れ、自分のアイディアをandで提案し、それがどんどん重なっていくことでストーリーが出来上がります。

研修では、役者が講師として「Yes and」の実演・お手本を見せながら人を巻き込んでいきます。チームビルディングに活用したり、プレゼンテーションスキルを高めたり、コミュニケーションスキルを伸ばしたり、楽しみながら発想力や即興力、表現力が身につけられるので喜ばれましたね。

Q6. 発想の転換!素敵なサービスですね。その後、MAIAを立ち上げたのはどのようなタイミングだったのでしょうか?

人材研修のチアーズは、元々1-2名の社員規模でしたが、会社が7期目に入って売り上げもそれなりに上がってきた頃に一人でできることに限度を感じると同時に、チーム戦にも興味が出てきました。

ちょうどその頃、私は36歳。30代は、女性のライフスタイルが変わる時でもあり、周りでも妊娠・出産・子育てでキャリアを一時中断せざるおえない人や、旦那さんの転勤で地方や海外移住をする人など、ライフスタイルが変わることで自分のキャリアややりたいことを断念しないといけないことに疑問を抱き、女性たちが本気で働けるために何かできないかなと考えていました。

当時は、リモートで仕事することがまだあまりなかった時代。そんな中、女性が時間、場所を問わず高単価で働けるようなサービスがあると良いのではと思い、2017年にMAIAを立ち上げました。

Q7. いつの挑戦でも課題解決が根底にあることが素晴らしいですね!起業家として、会社を経営する上で一番大変だったことはなんですか?

会社経営で一番大変だったことは、営業のかけ方と値付けですね。

チアーズを立ち上げた頃、社会人経験はありましたが、企業とのつながりがなかったので、交流会に顔を出して、1から自分の事業をプレゼン、ブランディングする日々でした。

自分のビジネスを自分で上手にプレゼンする難しさを痛感しました。

そんな時、とても心強かったのが、先輩の女性経営者や起業家からのアドバイスでした。ビジネスで推していくべきサービス、見せ方、ターゲットなど。色んな人に教えてもらいながら前に一歩一歩前に進めました。

あと、起業するなら財務会計の流れを学ぶとスムーズだと思います。

決算や納税、会計システム、社員にまつわる財務管理など、いつどんな時にお金が必要かが把握できると焦らないですね。私はコンサル企業在籍時に学んだ財務会計の知識が本当に役に立ちました。

Q8. MAIAはどんなサービスですか?

「女性活躍」x「地域」x「IT」を掛け合わせて、女性が場所や時間を問わず働けるような、自分らしいライフスタイルを送れるような仕組みを作るサービスです。

Q6でも少し触れましたが、ライフスタイルの変化でキャリアを一時中断し、ブランクが5年や10年ある人からの悩み相談も多く、復職したくても最新の情報技術について知らなかったり、社会復帰に対して自信をなくす人も多かったんです。

そこで、自信はないけど、でもなんとか変わりたいという人に向けて、企業だけでなく国や地方自治体とも連携し、最先端のITスキルが学べる機会を提供するサービスを創業メンバー4人で立ち上げました。

RPA、SAP、カスタマーサクセス、マーケティング、Webデザイン、需要の高いスキルを習得できるよう日本全国で女性の育成・支援を行い、これまでに1500人ほどにリスキリングの機会を提供してきました。

Q9. 素敵なサービスですね!リスキリング後の女性はどんな活躍をしていますか?

リスキリング機会を提供し、IT人材を育成するだけでは企業側のニーズ(即戦力)と、人材のスキルや稼働時間にミスマッチが起きて就労に至らないケースもあります。

そこでMAIAでは、ワークシェアリング型OJTという形を提案しています。例えば、フルタイムで働けない女性たちを稼働時間で分けてひとつのチームとして扱い、ワークシェアリングをしてもらいます。一つのチームにつき、MAIAのコンサルタントが一人つくのでそこでクオリティーを担保しています。

私たちのサービスでは、デジタルスキルだけでなく、マインドセットについてもサポートしているので、通常のITスキルセットに加えて、ビジネススキル、ロジカルシンキング、セルフブランディング、フリーランス知識など総合的な学びの場を提供しています。

MAIA所属の稼働者のうち約30%は英語もできるので、最近は海外エンジニアの人件費高騰でオフショア開発を国内に戻す動きもあることから、グローバルな会社と仕事をする機会もあります。

みなさん、働き方を自ら選べることで、モチベーションが高い人が多く、仕事もコミュニケーションも丁寧でチームワークも、パフォーマンスも良いとお客様に喜んでもらえています。

Q10. 目標やキャリアゴールを教えてください。

女性がフリーランスになったり、起業したり、最近は多様な働き方が認められるようになってきたので、MAIAを通してその社会を後押しすることが目標です。

個人の目標で言うと、会社経営をしていると常に頭が仕事モードになってしまうので、ライフスタイルと会社経営をバランスをとることがテーマです。そして何よりも、周りの方々に感謝しながら一緒に楽しく仕事を創造していきたいです。


WITJは、このRole Model Storyを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になることを望んでいます。

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