エディター・ライター:佐藤万斐
Women in Technologyは、日本のテック業界におけるジェンダーギャップをなくし、ダイバーシティアンドインクルージョンを促進することをミッションに掲げています。
このRole Model Interviewを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になること、そして一人でも多くの方々にIT業界で働く可能性について知ってほしいと思っています。
そこでIT業界の最先端で働く様々な方達にインタビューし、彼ら/彼女たちの熱意、想い、経験やストーリーを共有することにしました。
今回は、オーストラリアから来日し日本に定住したKristinaさんにインタビュー。外資コンサル企業のテクノロジー部門で活躍中の彼女のキャリアストーリーとは?
Q1. 自己紹介をお願いします!
初めまして、WITJのメンターのKristina Janjeticと申します。オーストラリア出身で、今は外資コンサル企業のテクノロジー部門にて働いています。日本でICU大学を卒業後、日本のSIerに新卒として入社しITキャリアをスタートしました。
それ以降米国系ソフトウェア企業の日本法人立ち上げや、大手ハードウェア、大手ソフトウェアと外資コンサルにて、ビジネス開発のプロフェショナルとしてキャリアを25年以上築いてきました。
Q2. 差し支えなければ日本に移住された理由も教えてください。
オーストラリアの学校では、外国語の選択科目として日本語があり、とても人気がありました。私が日本に興味を持ったきっかけは、パース日本人学校が現地の子供との交流を深めるために開催した日本語の集中講座に参加したことです。
そこで日本語の面白さを知り、日本語を本格的に学ぶために高校生の時に1年間日本に留学しました。帰国後高校卒業し、一旦現地の大学に入学しましたが、半年で中退し、日本の大学に入学し直しました。そして大学卒業後も「このまま日本で働きたい」という思いから日本で就職活動を始めました。
Q3. 大学卒業後は、IT業界にてキャリアをスタートさせましたが、その理由や就職までの道のりを教えてください。
就職活動を始める前は「同級生と同じように就職できる」と思っていたのですが、いざ始めてみると、当時(1990年代後期)は、外国人を新卒で採用している企業は全くありませんでした。そもそも外国人を現地採用している企業は本当に少なく、外資系企業の役員層の一部に本社からの転勤、いわゆるエクスパット(expat)という雇用形態の外国人がいるのみでした。
当時面接を担当してくれた面接官はほぼ全員「外国人の新卒採用は前例がないから難しい」と困った顔をしていました。また、面接の時の質問は「出身はどこですか?」「なぜ日本に来たのですか?」という私が外国人であることに関する内容で、大学の成績や自分の持っているスキル、人格とは全く関係のないものばかりだったことが印象的です。
そして2次面接、3次面接に進むと、質問の内容が少し変わり「日本にずっと居るつもりですか?」と必ず聞かれました。日本は基本的に「終身雇用」と聞いていましたが、この質問は採用側の「外国人は採用しても、いつか自分の国に帰ってしまうので、長く勤めてもらえない」という不安だったのだと思います。
また、ある外資系企業の面接官は「外国人は中途採用なら検討できるが、新卒は日本人しか採用できない」と、私を入れる「枠」がないということを説明してくれました。
そんな時、日本のシステム会社から、米国から先端のシステム技術を導入するために英語スキルを求められる募集が出たと学生課から連絡がありました。急いで訪問すると、一次面接の場で即採用決定となり、驚くべきスピードで今までとは正反対の体験をしました。面接を早めに終えた後、本部長の黒い車(白いレース付)に乗って挨拶回りという別世界の経験が待っていました(笑)
大学を卒業する直前に起きた運命的な出来事であり、これが私のIT業界のキャリアのスタートでした。この内定のおかげで、日本で25年以上IT業界で働いて、暮らすことになりました!(笑)
Q4. IT業界での働きがいについて教えてください。
これまでのITキャリアの中で印象的だったことは、ある米国ソフトウェア会社の日本支社立ち上げの経験です。最も私を成長させてくれた素晴らしい機会となりました。製品のローカライズ、最初の顧客獲得の営業活動、SIerとの再販契約とサポートサービスの立ち上げまで、様々な市場戦略の立案と同時に日本のPCメーカーとのOEM締結の交渉まで経験することができました。
Q5. IT業界で大変だったことはありますか?
これはやりがいでもありましたが、最先端の技術は変化が速いため、常に新しいことを学ぶ必要があったことです。
Q6. STEM業界ではまだまだ女性で活躍されている方が少ないと思いますが、どうしたら活躍される方が増えると思いますか?
女性としてリーダーを目指すにあたって、自分自身の価値観を大切にしながら、新しい道を切り開く事が鍵だと思っています。必ずしも女性のロールモデルを探す必要はなく、リーダーシップスキルを身につけることが最優先ではないでしょうか。
日本では、20代の女性社員の7割以上は管理職になりたいと思わない* と調査結果がでており、その理由は「自分には向ていないと思うから」「責任が重くなるのがいやだから」「リーダシップを取る自信がないから」「面倒な仕事が多そうだから」とか、自分のマネジメントスキルを習得する前向きの姿勢がない理由になります。ですので、成長思考、増幅型リーダシップ、やる抜く力、自信を高める方法など、女性リーダーを成功に導くマインドセットと習慣が大切だと感じています。
*Source: https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/201504212233.html
Q7. Kristinaさんの目標・キャリアゴールを聞かせてください!
自分としてのキャリアゴールは達成できているので、あとはこれから管理職を目指すメンバーに対してのコーチングにフォーカスしています。日々メンバーの成長を見られることに喜びを感じています。
Q8. これからテック業界を目指す方にメッセージをどうぞ!
IT業界では様々な経験ができます。また、今の社会はより働きやすい環境になっていると感じます。会社や自治体の制度やサポートを有効活用することで、仕事とプライベートの両立を目指すことができると思います。また、ライフステージに合わせて、キャリアを加速させたり、減速させたりすることもOKです。
成長思考、やり抜く力があれば、自分にとっての成功の道は切り開いていけると思います。