エディター・ライター:佐藤万斐
“You cannot be what you don’t see”
“知らないものにはなれない”
昨今、女性活躍推進のために様々な取組みを始めた企業が多いですが、未だに大学でコンピューターやエンジニアリングを専攻する女性は15%に満たず、ソフトウェアクリエイターの女性割合は14%だそう。その背景には、その仕事を身近にやっている人がいない、イメージしにくいと言う現状もあると信じています。
そんな背景もあって私たちは、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になること、そして一人でも多くの方々にIT業界で働く可能性について知ってほしいと思っています。そこでIT業界の最先端で働く様々な方達にインタビューし、彼ら/彼女たちの熱意、想い、経験やストーリーを共有することにしました。
第6回目は、コンサル・IT企業での勤務を経て地元・関西に戻って美術館の副館長に就任したAyakoさんのストーリー。彼女がIT業界からアート業界へ転身したきっかけとは?
Q1. 簡単な自己紹介とこれまでの経歴をざっくりとお願いします!
大阪大学美学科にて音楽学や美術史を学ぶ。アートに関係する仕事がしたいと考え、内定も獲得。しかし、基本的なビジネススキルを迅速に身につけることを優先し、アクセンチュアで15年勤務。プログラミングやプロジェクト管理、戦略企画に携わる。
その後シスコシステムズで4年勤務した後に、本拠地を京都に移し美術館の立ち上げプロジェクトに参画。2018年11月1日に嵯峨嵐山文華館をリニューアルオープン、2019年10月1日に福田美術館を新規オープン。現職は両館の副館長を務める。
Q2. コンサルやIT業界からアート業界への転職!とても興味深いですが、アート業界へ転身したきっかけは?
元々、芸術・美学全般が好きで、そちらの仕事をしたいと思っていたが、研究肌でないこと、ポストを得ることが非常に困難であることから一旦は趣味と諦め、ビジネスの世界で就職。ビジネスの世界に疲れてきたこともあり、京都でアートとビジネスを融合させられるような仕事がしたいと考え、色々模索していたところ、たまたま今のお話が来ました。オーナーは「ビジネス7割、アート3割のスキルを持つ人」を探しており、自分しか適任者はいないと思いました。
Q3. 当時のアート業界の様子はいかがでしたか?
通常は美術業界で長く勤めた経験のある方、世間的に名の通った館長・評論家建築家などが務めるケースが多く、無名の女性がこのような仕事をすることは非常に珍しいと思います。
Q4. 異業種の転職、大変だったことはありますか?
ほぼ一人で立ち上げを行ったため、全てを把握し、あらゆる面で折衝をせねばなりませんでした。また東京と違って、古い因習が生きている土地であるため、保守的で色々困難でした。過去のコンサル経験が非常に生きました。
Q5. この業界に進んでよかったことはありますか?
自分が好きなことをやっと仕事にすることができたことです。日々素晴らしい景観と美術品を見ながら仕事をすることができているので、変なストレスがありません。
Q6. STEAM業界に女性がもっと参入するために必要だと思うことはなんですか?
何よりも教育が重要。日本ではアートならアートだけしか学ばない傾向があるが、ヨーロッパなどでは理系とアート両方で博士号をとるような人物が増えてきている。学ぶ側も頭を柔軟にし、自分の好きなことだけを学ぶのではなく幅広く知識を身につけてプロフェッショナルになることを目指してほしい。
Q7. 最後に、STEAM業界を目指す女性に向けてメッセージをお願いします!
時には自分の意に染まない仕事をしなければならない時もあるでしょう。でも、全てがあなたの糧になります。まずやってみる、という姿勢で、何にでもチャレンジしていきましょう。
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WITJは、このRole Model Storyを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になることを望んでいます。