朝比奈ゆり子

Posted on

by

in

,

Women in Technology Japan | 【Role Model Interview】 朝比奈ゆり子

Role Model Interview: 朝比奈ゆり子

Women in Technology Japanは、日本のテック業界におけるジェンダーギャップを解消し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することをミッションに掲げています。

このRole Model Interviewを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になること、そして一人でも多くの方々にてテック業界で働く可能性について知っていただきたいという思いで活動しています。

今回のインタビューでは、パーソルテンプスタッフの執行役員CIOの朝比奈ゆり子さんにインタビュー。外資系ベンダーでITキャリアをスタートし、38歳で初めて転職を経験。その後、パーソルに転職し、パーソルグループで幅広くリーダーとして活躍する彼女のキャリアストーリーとは?


これまで一貫してIT領域を中心にキャリアを積んできました。最初は外資系のプロジェクトマネジメントに特化したソリューションベンダーにて、約11年にわたりプロダクト開発や導入支援に携わりました。グローバルで500~600名、日本では40~50名ほどの規模の企業で、日本全国のクライアントを担当し、各地を飛び回る日々でした。

その後、38歳で初めて転職し、外資系のITセキュリティ企業の情報システム部門へ。約3~4年後にM&Aがあり、買収先企業へ異動。PMI(M&A後の統合プロセス)における日本リードを務めました。

2014年にパーソルキャリア(当時:インテリジェンス)に入社し、求人メディア「アルバイトan」のサービスIT責任者を担当。ITに限らず、サービス企画や商品改定といった業務にも関わりました。

2018年にはパーソルホールディングスへ異動し、新会社の法人設立に従事した後、2021年よりグループデジタル変革推進本部の本部長として、IT部門の構造改革、グループ全体のDX推進を担ってきました。そして2025年4月より、パーソルテンプスタッフの執行役員CIOに就任しました。

趣味はワインと旅行で、国内外問わずいろいろな場所を訪れるのが好きです。特に船旅には魅力を感じていて、海の上で過ごす時間に癒されています。

将来のキャリアについて考える中で、「自立したはたらき方をしたい」という想いが強くなりました。ただ、当時はまだ女性のはたらき方といえば、いわゆる“OL”が主流。会社指定の制服を着て、補助的な仕事をするというスタイルにどうしても違和感がありました。

大学院時代、まわりには社会人学生も多くいたのですが、その中のひとりに勧められたのが、外資系のソリューションベンダー企業でした。

その会社の面接で対応してくださったのが女性社員2名に、男性社員1名。女性たちが非常にスマートで、堂々と活躍されている姿が特に印象に残り強く惹かれました。

「補助的な仕事」だけで終わらず、自分の知的好奇心が満たされるような領域ではたらくこと。そして、自分が“舵を取る”ような立場に立てるかどうか。受け身ではなく、主体的に関われるかを大切にしています。

それから、何事も「WHY(なぜやるのか)」「HOW(どうやるのか)」「WHAT(何をするのか)」の順番で考えるようにしていて、その積み重ねが今の自分のキャリアになっていると感じています。

それまでずっと外資系企業でキャリアを築いてきたのですが、一度は日系企業でもはたらいてみたいという気持ちがありました。特に、長期的な視点でチームをつくり、研究開発もしながらじっくりと物事を構築していけるような環境に惹かれていました。

私にとって理想的だったのは、「ITを強くしたい」と本気で考えている会社。ITと経営の両方を軸にして成長を目指している企業、そして何かしらその会社ならではの独自性のある事業を持っていること。社員のロイヤルティーが高い、そういう組織文化も重要なポイントでした。

転職活動中、とあるエージェントの方に紹介してもらった求人票を見たときに、「ここだ」と直感的に思えたのがパーソルキャリア(当時インテリジェンス)でした。

実は2002年頃、まだ転職は考えていなかった時期に、「doda」※の無料年収査定サービスを利用したことがあって。その時に対応してくれた社員の方の印象がとてもよくて、「いつかこんな会社で働きたい」と、心のどこかで思っていたんです。実際に求人を見たとき、過去のその記憶が自然とつながったような感覚がありました。

※パーソルキャリアが提供する転職サービス

入社当初は、文化の違いや業界知識の不足から戸惑いの連続でした。特に外資と日系の意思決定や組織運営の違いにギャップを感じ、自分の殻を破る必要がありました。

そんな中でも、パーソルキャリアではアルバイトサービスのIT責任者として活動しキャリアを積み重ね、2018年にはパーソルホールディングスに転籍し新規事業創造とオープンイノベーション推進を掲げる新会社、パーソルイノベーションの設立に従事しました。

そして2020年からコーポレートIT部門の組織変革を任され、「なぜこの仕事をするのか(Why)」から組織の目的を再定義することに注力しました。

目的は、“グループ全体の社員のはたらく体験(Employee Experience)を良くすること”。そのための「How(どうやるか)」は、“他のチームと協力しながら、チーム戦で進めること”。「What(何をするか)」は、“便利で使いやすい機能やサービスを社員に提供すること”。

こうしてビジョンや目的を言語化し、全員が腹落ちできるようにすることで、半年ほどでチームの雰囲気が目に見えて変わってきました。1年後には、実際に大きな価値を生み出せる組織になったと実感しています。最初は12人のチームでしたが、最終的には170人規模にまで成長しました。

ここまでできた理由は、「組織改革をしよう」と意気込んでやったわけではなくて、自分が「これはおかしい」「もっとこうした方がいい」と思ったことを一つずつ実践していっただけなんです。自然と「変える側」に加担していた、という感覚に近いです。

2025年4月にパーソルテンプスタッフの執行役員 CIOに就任しました。パーソルテンプスタッフの主な事業は派遣事業です。派遣は、人材ビジネスの中でもクライアントや個人との関係が長く続く領域。DXを進め、長期的な競争優位性を築き、双方が価値を感じながら働ける仕組みをつくっていきたいと考えています。

自分が「なぜやりたいのか」をできるだけ言葉にして伝えること。そしてその思いに共感してくれる人と一緒にはたらくことです。すでにチームがある場合には、メンバー一人ひとりの内発的な動機も尊重し、自立性を育む環境づくりを意識しています。

まず私たちに必要なのは、「やりたい」と手を挙げること。そして組織ができることは、その挑戦を後押しするスポンサーの存在を増やすことです。

加えて、リーダーを目指す人へのテクニカルな支援、たとえばプレゼンやロジカルコミュニケーション、立ち居振る舞いなどの実践的なトレーニングも必要だと感じています。

リーダー像は人それぞれ。ロールモデルは参考になりますが、誰かと同じである必要はありません。自分自身のプレゼンスを高める力を身につけ、お互いに支え合いながら成長していくことが大切だと思っています。


WITJは、このRole Model Storyを通して皆様がインスパイアされ、勇気を持って自分が本当に輝き、理想とする職種や業界に転職したり、就職したりできるような世の中になることを望んでいます。

WITJとのコラボレーションやイベントのスポンサーにご興味のある方は、お問い合わせフォームにご記入いただくか、info@womenintech.jp まで直接ご連絡ください。